まえがき:ブログを始めるきっかけ

 「1990年」。私がこの世に生を受けた年。

 バブルに浮かれていた日本が暗黒期に突入した年だ。

 

 前年にベルリンの壁は崩壊し、社会の構造は急速に変化しつつあった。この歴史的出来事をきっかけに世界は新時代に向けて一歩踏み出したのだが、

 その矢先、巨大に膨れ上がった泡が弾け、日本経済の根底を揺るがす事態が起きる。

 

 誰しもが自分の生まれた年(西暦)には愛着を持っているはずだが、私の生まれた年はまさに、それから長く続く暗雲時代の幕開けだった。

 “こんな時代に生まれた子は大変ね”なんて言われて育ったゆとりの走りに、バブル期みたいな貪欲さはない。

 

 大学を現役で入学・卒業し、そのまま就職。

 特段荒波もなくフツーに育った私は、今こうして会社員をやっている。

 もう6年目になるわけだが、異動を何度か経験しながらも、大して日常に大きな変化などないまま、当たり前のように毎日を消費している。

 少子化にゆとり。親世代のような受験戦争を知ることもなく、のんびり屋に育った私たちの周りにはモノや情報が溢れており、時代は多様性・多様化を謳うようになった。

 

 「ああ、このまま結婚までフツーに進めたらいいのに」。

 恋愛弱者の私は、大して恋愛経験も無いまま、遂に目先のすぐそこまで30歳が見えてきてしまった。こればっかりは時代のせいにはできないけれど、「晩婚化って言われる時代、まだまだ30代も遊べばいいんだよ」なんて、既婚の友人が無理やり励ましてくれる。(その“遊び方”だって私は知らない。)

 結婚や恋愛に焦らない草食男子と、多様性の時代の中で必死にモデルケースに乗っかりたい肉食にならざるを得ない女子の攻防は日常茶飯事で。

 こんな時代に姫様を気取れるオンナなんて、ごく少数の若い可愛いコだけだ。

 街コンなんて地域ぐるみの恋活イベントに出ても成果など上げられず、知り合いのウエディングドレスを見送りながら、私は日々仕事に追われてアフター5も楽しめない。

 

 天皇陛下の退位のニュースが走り、書類を見ながら「これ平成って印字されてるけどもうそろそろ使えなくなっちゃうのね」なんて、お客様は笑う。

 紅白の安室ちゃんのステージに、人々はいよいよ一時代の終わりを実感し、また僅かな時代の残り香に一抹の寂しさをおぼえる。

 

 こうして今、私は平成最後の夏を迎えている。

 陽気で太陽みたいなアラサー女子になって、湘南や葉山のビーチでコロナやハイネケン片手に女子会するのだ。そんな海外ドラマみたいな夏休みを妄想しながら、陰キャの私は明日も会社へ向かう。

 今年はまだ、憧れの海にすら行けていない。

 

 夏はあっという間に終わってしまう。最近は年を取ったから、もはや一年ですらあっという間だ。

 そうしてやってくるのだ、日本にとって大きな“賭け”の世界的お祭りが。

 TOKYOが大きな変化を迎えるこのビッグウェーブに、私は果たして乗れるのだろうか。

 

 子供の頃は25歳からオバサンだと思っていたけれど、実は30歳なんてあっという間で。前を走る先輩たちが「やっと大人の一歩を踏み出せて、スタートって感じ」なんて表現する、30歳。一抹の期待と大方の不安に包まれた新しいステージに向けて、私もそろそろ準備を始めなければいけない。

 

 2020年という大きな節目の年に、30歳という挑戦のステージへ踏み出す、私たち1990年生まれ。平凡・地味・堅実が持ち味の私(たち)が、これからの時代を生き抜く為に 何を見て、何を感じ、何を考えて、何を行動するのか。

 

 本ブログは、地味な私が、この大きな社会の変化の中でどうにか生きる為に備忘録的に考えをまとめた日記だ。これでもSNS世代なのでやはり紙の日記よりブログのほうが馴染みやすい。その程度のものですが、平成最後の夏に、気のまま吐き出していきたいと思います。